企業名:株式会社にんべん
代表取締役(十三代目):高津伊兵衛(克幸)
創業年 西暦(和暦):1699年(元禄12年)
沿革・創業者
家訓・経営理念など
良品廉価をモットーに絶えず新商品、新商法を開発・・・。創業は1699年(元禄12)、伊勢出身の初代・高津伊兵衛が日本橋で戸板を2~3枚並べて鰹節や干し魚を商ったことに始まる。1704年(宝永元)、小舟町で鰹節専用問屋を開業、1720年(享保5年)日本橋室町に移転、良品廉価の商いを行い、鰹節業界初の「現金掛値なし」の商法で急成長する。その後、6代目が江戸後期に商品券の発行、11代目が1960年代に「つゆの素」フレッシュパック」を発売するなど、「顧客・取引先の信頼」と「祖業から離れない」ことを基本に商売を発展させている。
事業内容
特長と強みなど
鰹節や出汁の文化を世界に広める・・・。鰹節削り節「フレッシュパック」や醤油に天然だしを合わせた「つゆの素」がロングセラーとして食品スーパー等で販売、この商品群が同社の事業の柱である。近年は、日本の食文化を代表する鰹節の用途を広げ、2010年に「日本橋だし場」をオープンし、「一汁一菜」をテーマに鰹節だし、月替わりのランチメニューを提供、現在、12店舗でだしの魅力を直接、消費者に伝える。コロナ禍ではEC販路も拡充、にんべんの商品の魅力をSNSによるマーケティングの取組も強化している。
特筆事項
長寿の秘訣は、攻めと守りのバランスと危機対処・・・・・。創業322年の同社の長寿の秘訣は、各世代の当主が「攻めの経営」「守りの経営」のバランスをとってきたことと、長い歴史の中で同社は降りかかってきた危機を乗り越えてきたことにある。8代目の時代、幕府崩壊で得意先の大名の貸付金回収不能に陥ったのを堅実な経営で対処、また関東大震災、東京大空襲で店舗焼失するも店舗を再建。13代目高津克幸社長は、鰹節のギフト需要の減退に新業態や新市場開拓に果敢に挑戦し、時代対応力が埋め込まれている。
まとめ
老舗にんべんの魅力は、創業以来、「伊兵衛」の名を受け継ぎ、時代に合う鰹節をベースに新製品・新市場開拓に挑戦する一方、顧客・取引先の信用力や予算統制等堅実な財政基盤を構築するなど、当主の行動力である。事業承継では、4・6・8代は婿養子を登用、血縁より優秀な人材を確保することを優先。現社長は「にんべんは、一定期間、高津家が預かっていることを次世代にも伝えていく。私利私欲に走らない」と次世代へ継続する強い意思がある。